エメラルド王 / 早田 英志 釣崎 清隆 著

南米コロンビア、世界最大のエメラルド輸出商にまで成り上がった日本人、早田英志。その軌跡を追ったこの一冊を読み終えて、しばらく呆然とした。

度胸と智慧のない者は一瞬で消え去る世界で、「エメラルド王」と呼ばれるまでのし上がったという事実そのものが、フィクションを超えている。詐欺、誘拐、銃撃…それらが日常の風景として描かれるコロンビアの地で、異邦人である一人の日本人がいかにして信頼を勝ち取り、生き延びたか。読み進むほどに、人間の胆力とはどこまで鍛えられるものかと考えさせられる。

共著者の釣崎清隆がコロンビアへの繰り返しの滞在と、数えきれない犯罪現場・危険地帯の取材を通じて積み上げたリアリティが、この作品の底を支えている。単なる武勇伝に終わらず、土地の匂いや人間の体温まで伝わってくるのはそのためだろう。

「小説よりおもしろい」という帯文は、決して誇張ではない。
これはエメラルドという石をめぐる物語であると同時に、欲望と恐怖の中で人がいかに自分を保つか…あるいは保てないか…を問う、骨太な人間記録である。

独特の語り口で紡がれた物語は読み進めるに連れ引き込まれていく。エメラルドに関してのそのもの知見を広げるというよりは冒険活劇といった趣の一冊。

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